在宅医療機器の停電対策。人工呼吸器・酸素濃縮器・CPAPの確認順
最終更新日: 2026年6月12日
注意: この記事は、在宅で人工呼吸器、酸素濃縮器、吸引器、CPAPなど電源を使う機器がある家庭で、停電前後に確認したい順番を整理する一般情報です。機器の使い方、非常用電源、酸素ボンベ、避難や入院の判断は、必ず主治医、訪問看護、機器事業者、自治体、救急相談などの個別指示を優先してください。呼吸が苦しい、機器が止まった、酸素や吸引が続けられない、意識や顔色に異変がある場合は、家庭内の工夫で様子見せず、119番や地域の救急相談を優先してください。

夜中2時。
突然、部屋が暗くなる。人工呼吸器や酸素濃縮器、吸引器、CPAPの電源表示が気になり、警報音が鳴ったら、まず誰に電話すればよいのか分からなくなる。
停電は、照明やスマホだけの問題ではありません。在宅で医療機器を使っている家庭では、電気が止まることが、そのまま呼吸、吸引、酸素、睡眠、服薬、移動の不安につながります。
「バッテリーは何時間もつのか」「誰に連絡するのか」「家に残るのか、病院や避難先へ向かうのか」。停電してから一つずつ調べるには、時間も気持ちの余裕も足りません。
この記事では、機器ごとの医学的判断ではなく、家庭で先に紙へ書いておきたい確認順を整理します。

30秒まとめ
在宅医療機器がある家庭の停電対策は、まず機器名、必要な電源、予備バッテリー時間、酸素や吸引の代替手段、連絡先を一枚にまとめることから始めます。ポータブル電源を買う前に、主治医・機器事業者・自治体へ「この機器に使ってよい電源か」「停電が何時間なら連絡するか」を確認します。
- 1. 使っている機器名と型番を書く
- 2. 内蔵バッテリーや外部バッテリーの持続時間を確認する
- 3. 機器事業者、訪問看護、主治医、自治体、救急相談の連絡先をまとめる
- 4. 停電が何分・何時間続いたら連絡するか決める
- 5. 自宅継続、親族宅、医療機関、避難先の切り替え条件を書く
最初に買うものではなく、機器リストを作る
在宅医療機器の停電対策で最初に必要なのは、大きな電源を買うことではありません。まず、いま家で何が電気に依存しているかを見える形にします。
| 書くこと | 家庭メモの例 |
|---|---|
| 機器名 | 人工呼吸器、酸素濃縮器、吸引器、CPAPなど |
| 型番・事業者 | 機器のラベル、説明書、契約書にある名称 |
| 電源 | コンセント、内蔵バッテリー、外部バッテリー、乾電池など |
| 持続時間 | 通常設定で何時間か。設定や劣化で変わるか |
| 代替手段 | 酸素ボンベ、予備バッテリー、手動・足踏み式吸引器など |
| 連絡先 | 主治医、訪問看護、機器事業者、自治体、救急相談 |
機器名や型番が分からないと、停電中に相談しても話が進みにくくなります。スマホの写真だけにせず、紙にも書いて、家族や支援者が見られる場所に置きます。
バッテリー時間は「残量」ではなく「連絡開始の合図」にする
バッテリーがあると、少し安心できます。ただし、家庭で大事なのは「何時間もつか」だけではありません。残り時間を、誰へ連絡するかの合図に変えることです。
たとえば、外部バッテリーをつないだらすぐ機器事業者へ連絡する。残り2時間になったら訪問看護や主治医へ状況を伝える。地域一帯の停電で復旧見込みが分からないなら、自治体の避難支援や医療機関への相談を早める。
この順番は、機器、病状、地域、家族の介助力で変わります。だからこそ、平時に主治医や機器事業者へ「停電時は何分・何時間で連絡すべきか」を確認しておきます。
ポータブル電源は、機器に使ってよいか確認してから
在宅医療機器に市販のポータブル電源を使えるかどうかは、機器によって異なります。容量が大きいだけでは判断できません。出力形式、正弦波かどうか、起動時の電力、充電時間、バッテリー劣化、接続方法、メーカー保証、安全上の注意が関係します。
家庭で勝手に接続して、機器が止まったり、警報が出たり、故障したりすると危険です。購入前に、機器事業者や主治医へ次のように確認します。
| 確認すること | 聞き方 |
|---|---|
| 使用可否 | この機器に外部電源を使ってよいですか |
| 必要な出力 | 正弦波、定格出力、瞬間最大出力の条件はありますか |
| 何時間必要か | わが家の設定で最低何時間分を見ればよいですか |
| 接続手順 | 停電時に誰が、どの順番で接続しますか |
| 警報時の対応 | エラーや警報が出た時に何を止め、誰へ電話しますか |
| 助成制度 | 自治体の非常用電源購入助成や貸出制度はありますか |
自治体によっては、在宅人工呼吸器使用者などを対象に非常用電源の購入費助成や貸出制度を設けている場合があります。対象条件、申請前相談、購入前申請の要否は自治体で違うため、住んでいる自治体の障害福祉、保健所、難病相談、医療的ケア児支援などの窓口で確認します。
酸素・吸引・人工呼吸器は「代替手段」を別に書く
停電時に困るのは、機器そのものだけではありません。酸素、吸引、人工呼吸器のように、止まるとすぐ不安が大きくなるものは、代替手段と連絡先を別に書きます。
| 機器・ケア | 先に確認したいこと |
|---|---|
| 人工呼吸器 | 内蔵・外部バッテリー時間、アンビューバッグ、停電時の連絡先 |
| 酸素濃縮器 | 酸素ボンベの本数、流量ごとの使用時間、配送・交換連絡 |
| 吸引器 | 充電式、足踏み式、手動式などの予備と使用方法 |
| CPAP | 医療上どの程度継続が必要か、停電時の相談先、代替睡眠環境 |
| 経管栄養・ポンプ | 手動対応の可否、時間変更の可否、医療者への確認事項 |
ここで大事なのは、家族だけで医学的に決めないことです。「このくらいなら止めてもよい」「ボンベは何時間もつ」は、機器設定や病状で変わります。普段の診療や点検の場で、停電時の手順として確認します。
連絡先はスマホの中だけに入れない
停電時は、スマホの電池、通信、家族の移動が同時に不安定になります。連絡先をスマホだけに入れていると、必要な人が見られないことがあります。
紙の連絡先カードには、少なくとも次を書きます。
- 本人の名前、生年月日、住所
- 主な病名や必要なケア
- 使用機器名、型番、機器事業者
- 主治医、訪問看護、薬局、相談支援、自治体窓口
- 家族・親族・近所の支援者
- 停電時に何分・何時間で連絡するか
- 避難時に持ち出すもの
玄関、機器の近く、非常用持ち出し袋の中に同じ内容を置きます。支援者が来たときに、本人や介助者が説明できなくても状況が伝わるようにします。
自宅で粘るか、移動するかの線を先に決める
在宅医療機器がある家庭では、「家が安全なら在宅」と単純には決められません。家屋に損傷がなくても、停電が長引けば医療ケアの継続が難しくなることがあります。
| 状況 | 早めに相談したい先 |
|---|---|
| 復旧見込みが分からない | 電力会社情報、自治体、訪問看護、機器事業者 |
| バッテリー残り時間が短い | 主治医、訪問看護、救急相談、機器事業者 |
| 酸素ボンベ残量が少ない | 酸素事業者、主治医、訪問看護 |
| 吸引や呼吸管理が不安定 | 主治医、訪問看護、119番や救急相談 |
| 介助者が一人で疲れている | 親族、相談支援、自治体、訪問看護 |
移動にもリスクがあります。階段、エレベーター停止、雨風、道路状況、車いすやストレッチャー、酸素ボンベ、機器、薬、電源コードをどう運ぶかを確認します。だから、停電してから初めて考えるのではなく、「何時間を超えたら相談する」「誰が車を出す」「どこなら電源がある」を平時に決めます。
家族で今日作る一枚メモ
今日やるなら、次の一枚だけ作ります。
| 欄 | 書くこと |
|---|---|
| 使っている機器 | 名称、型番、事業者、電話番号 |
| 電源 | 内蔵バッテリー、外部バッテリー、予備ボンベ、予備吸引器 |
| 時間 | 通常設定で何時間。何時間前に連絡するか |
| 連絡順 | 家族、訪問看護、主治医、機器事業者、自治体、救急 |
| 移動先 | 親族宅、医療機関、福祉避難所や自治体相談先 |
| 持ち出し | 薬、予備回路、吸引用品、充電器、延長コード、説明書 |
このメモは、完成度より更新しやすさが大切です。機器が変わった、設定が変わった、連絡先が変わったら書き直します。
停電時連絡フロー
停電時に迷いやすいのは、「誰に、どの順番で連絡するか」です。機器や病状によって正解は変わりますが、家庭のメモには次のような流れを土台として書いておきます。

| 順番 | 確認すること | 次にすること |
|---|---|---|
| 1 | 停電した | 本人の呼吸、顔色、反応、機器の警報を確認する |
| 2 | 機器が動いているか | コンセント、内蔵バッテリー、外部バッテリー表示を見る |
| 3 | 残り時間が分かるか | 何時間残っているかをメモし、早めに連絡開始する |
| 4 | 在宅で続けられるか | 訪問看護、機器事業者、主治医へ状況を伝える |
| 5 | 復旧見込みが分からない | 自治体、救急相談、必要時は119番へつなぐ |
大切なのは、残り時間が少なくなってから慌てるのではなく、バッテリー残量を「連絡開始の合図」にすることです。たとえば「外部バッテリーに切り替えたら機器事業者へ電話」「残り2時間を切ったら訪問看護へ連絡」のように、家庭ごとの線を決めます。
一枚メモ記入シート
商品を買うより先に、この表を紙に写して埋めます。すべてを完璧に書けなくても、空欄があること自体が「次の受診や点検で聞くこと」になります。

| 記入欄 | わが家のメモ |
|---|---|
| 本人の名前・生年月日 | |
| 使っている機器名 | |
| 型番・機器事業者 | |
| 内蔵バッテリー時間 | |
| 外部バッテリー・予備電源 | |
| 酸素ボンベ・吸引器などの代替手段 | |
| 主治医・訪問看護 | |
| 機器事業者・酸素事業者 | |
| 自治体・相談支援・救急相談 | |
| 何分・何時間で連絡するか | |
| 移動先候補 | |
| 持ち出すもの |
この記入シートは、本人や主介助者が説明できない時にも役立ちます。玄関、機器の近く、持ち出し袋の中に同じ内容を置き、更新日も書いておきます。
準備を少し軽くするもの
ここから先は、医療機器の非常用電源、酸素、吸引、避難や入院の判断を商品で代替するものではありません。機器に接続する電源や医療ケア用品は、必ず主治医、訪問看護、機器事業者、自治体の指示を優先してください。
この記事にはAmazonアソシエイトリンクを含みます。紹介するのは、停電時連絡フローと一枚メモを作り、説明書や連絡先を見失わないための一般用品です。医療機器への接続可否、電源容量、酸素や吸引の代替手段は、商品ページだけで判断しないでください。
防水書類ケース

機器名、型番、連絡先、薬の情報、説明書のコピーをまとめておく候補です。停電時は水害や夜間移動が重なることもあるため、紙のメモを濡らさず持ち出しやすくしておくと、支援者へ状況を伝えやすくなります。
- 使う場面: 機器情報、連絡先カード、薬のメモ、説明書コピーをまとめる時
- 役割: 情報を守る。医療判断や非常用電源の代わりにはならない
- 確認すること: A4が入るか、防水性、開閉しやすさ、持ち出し袋に入る大きさ
LEDランタン

夜の停電で機器まわり、薬、連絡先メモ、足元を確認するための候補です。スマホライトだけに頼ると、連絡や情報確認に使う電池を減らしてしまいます。
- 使う場面: 機器まわり、薬、メモ、足元を確認する時
- 役割: 手元を照らす。危険な場所へ入るための道具ではない
- 確認すること: 乾電池式か充電式か、連続点灯時間、明るさ、防滴性
ラベルシールと油性ペン

バッテリー、充電器、酸素ボンベ、説明書ファイル、持ち出し袋に、名前や連絡先、確認日を書いておくための候補です。停電時に家族以外の支援者が来ても、何がどれか分かりやすくなります。
- 使う場面: 機器名、充電日、交換日、連絡先、持ち出し順を書く時
- 役割: 探し物と説明の負担を減らす。機器の設定判断はしない
- 確認すること: 水に強いか、読める大きさで書けるか、貼る場所に合うか
クリアファイル・バインダー

一枚メモ、連絡先、機器説明書、自治体窓口の案内、薬の情報を一か所にまとめる候補です。スマホの中だけで管理せず、紙で見られる状態にしておくと、停電時に家族や支援者が同じ情報を確認できます。
- 使う場面: 連絡先カード、説明書コピー、薬のメモをまとめる時
- 役割: 情報共有を助ける。医療者への相談を省略するものではない
- 確認すること: 持ち出しやすさ、更新しやすさ、見出しを付けられるか
FAQ
在宅医療機器がある家庭は、停電したらすぐ避難するべきですか?
一律には決められません。機器、病状、バッテリー時間、酸素や吸引の代替手段、停電範囲、移動手段で変わります。平時に主治医、訪問看護、機器事業者、自治体へ「何分・何時間で連絡するか」「どこへ移る選択肢があるか」を確認しておくことが大切です。
ポータブル電源を買えば安心ですか?
容量が大きいだけでは安心とは言えません。医療機器に使ってよい出力形式、接続方法、使用時間、警報時の対応、保証、安全上の注意が機器ごとに違います。購入前に機器事業者や主治医へ確認してください。
CPAPも同じように準備が必要ですか?
CPAPの必要性や中断時のリスクは、病状や使い方で異なります。睡眠時無呼吸症候群のCPAPが自治体の非常用電源助成の対象外になる場合もあります。停電時にどうするかは、主治医や機器事業者に確認します。
酸素ボンベは何本あればよいですか?
流量、ボンベ容量、使う時間、配送体制で変わります。自己判断で本数を決めず、酸素事業者や主治医に、停電時の想定時間、交換連絡、保管場所、持ち出し方法を確認してください。
吸引器が止まるのが不安です。
設置型だけでなく、充電式、足踏み式、手動式などの予備が必要か、病状に合う吸引力があるかを主治医や訪問看護へ確認します。予備があっても、使い方を知らなければ停電時に使えません。平時に練習することが大切です。
自治体には何を相談すればよいですか?
非常用電源の助成や貸出、要配慮者名簿、個別避難計画、福祉避難所、停電時の相談先、医療的ケア児や難病患者への支援窓口を確認します。制度名や対象は自治体で異なるため、住んでいる地域の窓口で確認してください。

