停電でWi-Fiが止まったら、椅子から動かず鍵を持たない支援者を家に入れられるか実測

集合住宅の二つの入口と、室内の椅子から電話で鍵を持たない支援者へ解錠方法を伝える本人実測の全体像 防災

停電でWi-Fiルーターとスマートホーム用のハブが止まった時、身体を動かしにくく玄関まで行けなければ、助けを呼べても家の中へ入ってもらえないかもしれません。

私の住むマンションには、共用入口と自宅玄関の二つの鍵があります。普段はスマートフォンから両方を解錠できます。ところが、住戸内のWi-FiとSwitchBotハブを止め、いつもの椅子から試すと、共用入口用のボットは動いた一方、玄関のロックProは反応しませんでした。

そこで、玄関外側の指紋認証パッドへ、事前に登録してあった暗証番号を家族に入力してもらいました。番号は携帯電話の通話で口頭で伝え、1回の入力で、共有から1分以内に解錠できました。

今回の結論は「スマートロックなら停電時も安心」ではありません。停電後にも残る操作経路を、一つずつ実際に止めて確認する必要がありました。

30秒で分かる実測結果

確認したこと 1回の結果
共用入口のSwitchBotボット Wi-Fi・ハブ停止中も、椅子からスマートフォンで動かせた
自宅玄関のロックPro 同じ条件では反応しなかった。本人の記憶では「子機がオフラインです」と表示された
Wi-Fi・ハブを戻した後のロックPro 同じ椅子・同じスマートフォンから解錠できた
玄関外側の指紋認証パッド 登録済み暗証番号を1回入力して解錠できた
暗証番号の共有 携帯電話の通話で口頭共有。共有から解錠まで1分以内
本人の移動 椅子から立たず、玄関へ移動しなかった

使えなかったのは、ロックProそのものではなく、椅子からスマートフォンで開ける経路でした。代わりに、外側の認証パッドと登録済み暗証番号を使えば、本人が玄関まで行かなくても解錠できました。

ただし、これはマンション全体を停電させた試験ではありません。共用インターホンと建物の電気錠には電気が来ており、携帯電話回線も使える状態でした。

災害時は、助けを呼べても玄関で止まることがある

玄関の問題は、鍵を忘れた時だけに起きるものではありません。

家の中で立ち上がれなくなった人が、訪問したヘルパーへ返事はできても鍵を開けられず、家族が到着するまで半日以上床で過ごした体験が公開されています。社会福祉協議会の記録にも、ヘルパー訪問時に転倒して玄関を開けられなかった例や、室内で意識を失って動けず、預かり鍵で入室した後に救急搬送された例があります。

ここから分かるのは、「電話できる」と「支援を受けられる」の間に玄関があることです。

集合住宅では、さらに二段階になります。

  1. マンションの共用入口を通る
  2. 自宅玄関を通る

家族が鍵を持っていても、家族がすぐ来られるとは限りません。災害時に管理人、近隣の人、介護・医療の支援者、消防・救助隊などへ助けを求める可能性まで考えるなら、鍵を持たない人がどこまで入れるかを確認する必要があります。

支援者が本人へ到達するまでに共用入口と自宅玄関の二つの解錠が必要な流れ
集合住宅では、一方だけ開けても支援者は本人まで到達できません。

最初の仮説は「電池式だからWi-Fiがなくても開く」だった

自宅では、次の三つを使っています。

  • 共用入口:室内インターホンの解錠ボタンを押すSwitchBotボット
  • 自宅玄関:内側のサムターンを回すSwitchBotロックPro
  • 自宅玄関の外側:暗証番号と指紋を使えるSwitchBot指紋認証パッド

メーカー仕様では、ボットはCR2電池、ロックProは単3電池4本、指紋認証パッドはCR123A電池2本で動きます。ボットとロックProはBluetoothにも対応しています。

この仕様だけを見ると、「停電でWi-Fiが止まっても、本体の電池とスマートフォンのBluetoothがあれば開けられる」と考えられます。

一方、メーカーはロックProの遠隔操作にはハブが必要だと案内しています。ロックProとハブはBluetoothで通信し、ハブがネットワークへの橋渡しをします。つまり、同じスマートフォン操作に見えても、実際には次の二つがありました。

  • スマートフォンから機器へ直接届くBluetooth操作
  • スマートフォンからネットワークとハブを経由する操作

停電時に残るのはどちらか。カタログだけでは、普段の椅子から実際にBluetoothが届くかまでは分かりません。そこで、家族が対応できる安全な状態で、Wi-Fiルーターとハブだけを止めて確認しました。

Wi-Fiとハブを止め、普段の椅子から1回ずつ試した

試験条件

項目 条件
実測日 2026年7月26日。時刻は未記録
本人の位置 普段と同じ自宅の椅子
本人の動作 立ち上がらず、玄関へ移動しない
スマートフォン Bluetoothオン
止めたもの 住戸内のWi-Fiルーター、SwitchBotハブ
止めていないもの 建物の電気、共用インターホン、携帯電話回線
立会人 家族
試行回数 ボット、ロックPro、暗証番号を各1回
成功基準 本人が椅子から動かず、共用入口と自宅玄関の解錠経路を残せる

実際の停電や災害は再現していません。119番や110番への試験電話もしていません。

共用入口のボットは動いた

Wi-Fiとハブを止めた状態でも、室内インターホンに付けたSwitchBotボットは、椅子からスマートフォンで動かせました。

この1回では、スマートフォンからボットへ直接Bluetoothで届いたと考えると結果を説明できます。ただし、アプリ内部の通信経路を記録したわけではないため、断定はしません。

さらに、これはボットが物理的に解錠ボタンを押せたという結果です。マンション全体が停電し、インターホンや共用入口の電気錠そのものが止まれば、ボタンを押しても開かない可能性があります。

私の住む建物では、共用入口は管理人にも相談できます。ただし、災害時に管理人がいる時間帯や、建物停電時の解錠手順までは確認していません。

自宅玄関のロックProは動かなかった

同じ椅子、同じスマートフォン、BluetoothオンのままロックProを操作しました。しかし、ロックは反応しませんでした。

画面には「子機がオフラインです」と出ていた記憶があります。表示文言は記録していないため、正確なエラーメッセージとしては扱えません。

Wi-Fiとハブを戻すと、同じ椅子から解錠できました。この結果は、現在の椅子から行う普段の操作がハブ経由だったことと整合します。

ただし、直接Bluetooth接続できなかった原因は切り分けていません。椅子から玄関までの距離、間の壁、スマートフォンの位置、電波干渉を一つずつ変えていないためです。

Wi-Fiとハブ停止時にボットは成功、ロックProのアプリ操作は失敗、登録済み暗証番号は成功した比較図表
電池式という共通点があっても、普段の操作経路によって結果が分かれました。

新しい仮説は「外側の暗証番号ならハブを通らない」だった

ロックProをスマートフォンから開けられなくても、本体の電池は残っています。そこで操作する側を、室内のスマートフォンから玄関外側の指紋認証パッドへ変えました。

指紋認証パッドには、平時に暗証番号を登録済みでした。家族はその番号を以前に知っていましたが、試験時には忘れていました。そのため、本人が携帯電話で家族へ番号を口頭で伝えました。

家族が玄関外側から暗証番号を1回入力すると、ロックProは解錠しました。番号を伝えてから玄関が開くまで1分以内でした。

この試験では、家族が番号を暗記していたから開いたわけではありません。「本人と電話がつながり、番号を聞いて入力する」という、鍵を持たない支援者にも使える形を確認できました。

ただし、Wi-Fi・ハブ停止中に家族以外の人へ実際に入力してもらったわけではありません。通常の電源・Wi-Fi環境では、鍵を持たない家族以外の人をスマートフォン操作で入れた経験がありますが、今回の暗証番号試験を行ったのは家族です。

停電時の判断は「停電後に番号を作る」ではなく事前登録だった

メーカーの案内では、キーパッドや指紋認証パッドのパスコードを遠隔で追加・削除するには、ハブとの接続が必要です。

そのため、停電後に「今から支援者用の番号を作ろう」としても、ハブが止まっていれば間に合わない可能性があります。今回使えたのは、停電を想定する前から暗証番号が登録されていたためです。

この結果から、家庭で先に決めることは次の三つです。

  1. 停電後にも使える解錠方法を登録しておく
  2. 必要な時に誰へ番号を伝えるか決める
  3. 番号を伝えた後の変更・失効方法を確認しておく

暗証番号を多数の人へ配っておく必要はありません。誰に伝えるかは、その時の危険度と支援関係で判断します。番号そのものを防災メモや記事など、第三者から見える場所へ書くのも避けます。

機器の配置や設定は、今回の試験後に変更していません。変わったのは、停電時の優先経路です。ロックProをアプリから開ける方法を第一候補にせず、登録済み暗証番号を電話で伝える経路を残す、と整理できました。

緊急時は119、事件なら110、危険が迫る前は管理側へ

「鍵を持たない支援者」といっても、状況によって連絡先は変わります。

状況 連絡先の考え方
浸水、火災、急病など生命・身体の危険が迫り、自力で避難や移動ができない 119番。消防車・救急車が必要な緊急通報として、住所、階数、身体状況、二つの入口、解錠方法があることを伝える
不審者、侵入、暴力など事件・事故が起きている 110番
まだ差し迫った危険はなく、避難準備や安否確認を頼みたい 家族、管理人・管理会社、平時に決めた支援者、自治体の防災・福祉窓口

消防庁は、119番を消防車・救急車が必要な時の緊急通報と案内しています。警察庁は、事件・事故の緊急通報を110番、緊急でない警察相談を最寄りの警察署または#9110としています。

今回、119番、110番、自治体、管理会社へ試験連絡はしていません。緊急通報先へ「つながるか試す」電話はできません。

実際に119番へ連絡する必要が生じたら、「玄関まで移動できない」「共用入口と自宅玄関がある」「外側の認証パッドへ登録済み番号を入れると開く」と伝え、番号を誰に、いつ伝えるかは指令員の案内に従います。

災害前に作る「入ってもらう順番」

同じ仕組みをほかの家庭で確認するなら、機器名より先に入口を数えます。

1. 支援者が通る入口をすべて書く

  • 敷地の門
  • 集合住宅の共用入口
  • エレベーターホール
  • 自宅玄関
  • 室内の施錠された扉

一つでも通れなければ、支援者は本人まで到達できません。

2. 各入口で止まる電源を分ける

  • 建物の電気
  • 住戸内のコンセント
  • Wi-Fiルーター
  • スマートホーム用ハブ
  • スマートロック本体の電池
  • 認証パッドの電池
  • スマートフォンの電池と携帯電話回線

「本体が電池式」と「普段の操作経路が停電後も残る」は別です。

3. 鍵を持たない人の手順を一つ決める

候補には、登録済み暗証番号、管理された預かり鍵、設置許可を得たキーボックス、管理人の解錠などがあります。防犯、賃貸・管理規約、支援事業者の鍵管理ルールを確認し、家庭だけで決められない点は管理会社や支援事業者へ相談します。

4. 電話で伝える内容を短くする

支援者へは、次の順で伝えられるようにします。

  1. 建物名と部屋番号
  2. 共用入口の通り方
  3. 自宅玄関の認証パッドの場所
  4. 暗証番号の入力方法
  5. 解錠後にしてほしいこと

緊急時に暗証番号を言い間違えないよう、本人だけが確認できる安全な場所に控えを残します。

5. 安全な日に一度だけ止めて試す

家族が立ち会い、通常の鍵や復旧手段を用意した状態で、Wi-Fiとハブだけを止めます。本人が普段いる位置から、入口ごとに成功・失敗を記録します。

実際の停電、閉じ込め、災害、緊急通報は再現しません。ロックの設定変更で締め出される恐れがある場合は、自分だけで試さず、家族やメーカーサポートと確認します。

緊急時は119、事件時は110、危険が迫る前は管理側や登録支援者へ連絡する判断フロー
暗証番号を誰へ伝えるかは、生命の危険、事件性、平時の支援関係で分けます。

他の家庭で確認する10項目

  1. 家族以外の人に入ってもらう必要がある場面を決めた
  2. 支援者が通る門・共用入口・玄関をすべて書いた
  3. それぞれを誰が、どこから解錠するか分かる
  4. Wi-Fiとハブを止めても残る操作を確認した
  5. スマートロック本体と外側認証機器の電池残量を確認した
  6. 災害前から使える暗証番号または預かり鍵がある
  7. 暗証番号を電話で正確に伝えられる
  8. 番号を伝えた後に変更・失効する手順を確認した
  9. 建物停電時の共用入口について管理側へ確認した
  10. 緊急時の119、事件時の110、緊急前の連絡先を分けた

自力避難が難しい人については、自治体が作成する避難行動要支援者名簿や個別避難計画も確認先になります。誰が避難を支援するかを、災害が起きてから探すのではなく、平時に自治体の防災・福祉窓口へ相談します。

今回分からなかったこと

今回の結果を、実際のマンション停電や別の家庭へそのまま当てはめることはできません。

  • マンション全体の停電時に、共用インターホンと電気錠が動くか
  • 管理人が災害時に対応できる時間帯と手順
  • 携帯電話回線が混雑・停止した時に、番号をどう伝えるか
  • 家族以外の支援者が暗証番号を使って実際に入室できるか
  • 椅子からロックProへ直接Bluetooth接続できなかった原因
  • 2回目以降も同じ結果になるか
  • 119番、110番、自治体、管理会社が実際にどう対応するか
  • 別製品、別住戸、別の建物設備でも同じ結果になるか

特に、ボットが動いたことと、建物停電時に共用入口が開くことは同じではありません。共用設備の非常電源、停電時解錠、管理人対応は、管理会社や管理組合へ確認する項目です。

よくある質問

ロックProはBluetooth対応なのに、なぜ開かなかったのですか?

今回の条件では、普段の椅子から直接Bluetooth接続できず、ハブ経由の操作も止まった可能性があります。ただし、距離、壁、向き、電波干渉を一つずつ変えていないため、原因は断定できません。自宅で確認する場合も、カタログ上の通信方式だけで判断せず、普段いる位置から試します。

指紋認証パッドなら、停電時も必ず開きますか?

必ず開くとは言えません。今回は、電池残量がある指紋認証パッドとロックProを使い、登録済み暗証番号で1回解錠できました。電池切れ、機器故障、設置状態、製品の組み合わせが変われば結果も変わります。物理鍵など、別の復旧手段も残します。

暗証番号は支援者全員へ事前に教えるべきですか?

事前に登録しておくことと、多数の人へ配ることは別です。誰へ伝えるか、使った後に変更するか、事業者が番号をどう管理するかを平時に決めます。防犯や契約に関わるため、訪問介護・看護などの事業者へ頼む場合は、その事業者の鍵管理ルールも確認します。

携帯電話がつながらなければどうしますか?

今回の方法は、携帯電話の通話が使えることを前提にしました。災害時は通信が混雑・停止する可能性があります。家族、管理人、登録支援者、自治体の個別避難計画など、電話一本だけに依存しない連絡先と訪問ルールを平時に決めます。

119番と110番のどちらへ電話すればよいですか?

浸水、火災、急病などで消防・救急・救助が必要なら119番です。不審者や暴力など事件・事故なら110番です。危険が差し迫る前の避難準備や安否確認は、家族、管理側、地域の支援者、自治体窓口へ相談します。

キーボックスと暗証番号式のスマートロックはどちらがよいですか?

建物の設置許可、防犯、支援者の人数、鍵管理のルール、停電時に残る機能で変わります。集合住宅ではキーボックスを設置できない場合があります。どちらも「用意した」で終わらせず、本人が動けない条件で支援者が入室できるかを確認します。

まとめ

停電時に助けを求める準備は、電話番号を決めるだけでは終わりません。支援者が本人のいる場所まで到達できるかを、入口ごとに確認する必要があります。

今回、住戸内のWi-Fiとハブを止めると、共用入口用のSwitchBotボットは椅子から動かせましたが、自宅玄関のロックProは反応しませんでした。Wi-Fiとハブを戻すと同じ位置から開いたため、普段の解錠経路が停電後にも残るとは限らないと分かりました。

代わりに、玄関外側の指紋認証パッドへ登録済み暗証番号を入力すると、1回で解錠できました。番号を忘れていた家族へ携帯電話で伝え、1分以内に玄関が開きました。

わが家で残った経路は、「本人がアプリで開ける」ではなく、「本人が電話で事前登録済み番号を伝え、外側から開けてもらう」でした。

他の家庭でも、まずカタログの電源と通信方式を確認し、その後に、普段いる位置からWi-Fiとハブだけを安全に止めて試します。失敗した経路を消さず、暗証番号、預かり鍵、管理人、個別避難計画など、停電後にも残る別経路へつなげることが大切です。

参考にした情報

この記事の確認範囲

身体障害のある本人が、家族立ち会いのもと、普段の椅子から動かずに行った各1回の確認です。住戸内のWi-FiとSwitchBotハブだけを止め、建物の電気、共用設備、携帯電話回線は動かしたままにしました。

商品比較や安全保証ではありません。暗証番号は掲載していません。実際の災害、マンション全体停電、緊急通報、家族以外の人による暗証番号解錠は試していません。同じ機器でも、建物、距離、壁、電池、設定、通信環境、身体条件が変われば結果は変わります。

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