災害時にエレベーターが止まったら?車椅子でマンション7階から連絡できるか実測

マンション7階の自宅で、車椅子利用者がパソコン前からAlexaとiPhoneへ呼びかける実測場面 災害

地震や停電などの災害時、マンションのエレベーターが止まったとき、車椅子で7階にいる私は自力で階段を下りられません。家族がそばにいない場合、普段いるパソコン前から家族へ連絡できるかが問題になります。

私は脳梗塞の後遺症で身体に障害があり、屋外では電動車椅子を使っています。自宅内の移動にも家族の介助が必要で、発声にも障害があります。

そこでAlexaとiPhoneを使い、家族立ち会いのもとで通常の家族連絡を試しました。

Alexaは、置き場所によって「家族へ発信はできても、会話で声が伝わらない」状態になりました。一方、Wi-Fiを止めた状態でも、iPhoneの携帯回線では、家族への発信と会話が3回中3回成立しました。Siriによる通話終了は、別の追加試験で1回確認しました。

110番・119番への発信は試していません。この記事は、家族への通常連絡を実測した記録です。

30秒で分かる結果

  • Alexaは約5m・後方でも3回中3回、10秒以内に家族へ発信できた
  • ただし約5m・後方では、発声障害のある私の声が相手へ十分に伝わらなかった
  • 約1m・正面では3回とも一度で伝わり、約3m・斜め前では3回中1回だけ聞き返しがあった
  • Wi-Fiを止めるとAlexaからは発信できなかった
  • 同じWi-Fi停止中、iPhoneの携帯回線では3回中3回、約3秒で家族へつながった
  • Siriの「通話を終了」を有効にした追加試験では、iPhoneへ触れずに通話を切れた

音声命令を認識できるか。家族へ発信できるか。自分の声が伝わるか。Wi-Fiが止まっても別の連絡手段が残るか。手を使わず通話を終えられるか。それぞれを分けて確認する必要があります。

災害時に「家族へ連絡できるか」まで試した理由

普段、私はパソコン前で過ごし、iPhoneも同じ場所に置いています。仕事ではClaude Codeを音声入力で操作しているため、声で機器を動かすこと自体には慣れています。

しかし、災害時に床へ転倒したり、電動車椅子へ乗り移れなかったりした場合、Alexaへ近づくこともiPhoneへ手を伸ばすこともできない可能性があります。エレベーターが止まれば、7階から階段で自力避難することもできません。

「Alexaがある」「Siriが使える」という設定上の安心ではなく、現在の私の声、普段の姿勢、実際の置き場所で家族との会話まで成立するかを確かめる必要がありました。

Alexaを使っていた母親が倒れた家族の体験記では、家族は、母親本人に家族の名前を呼んで連絡する使い方を事前に教えておけばよかったと振り返っています。

また、新潟県長岡保健所などが支援した筋萎縮性側索硬化症(ALS)当事者の事例では、両手が使えず、スマートフォンやパソコンを使えない時期があった本人に、音声で操作できるEcho Showが導入されています。本人は発声への障害がほとんどなく、家族との通話にも利用できたと紹介されています。

この二つの事例から、機器を持っているかだけでなく、現在の身体状態、声、普段の位置で家族へ連絡できるかを試し直す必要があると考えました。

エレベーター停止時に自力で階段を移動できず、連絡手段を確認する車椅子利用者
上層階で移動できない時は、本人が機器へ近づかなくても連絡できるかが問題になります。

試した条件

  • 実施日:2026年7月23日
  • 場所:自宅のパソコン前
  • 住居:エレベーターのあるマンション7階
  • 本人の状態:移動障害と発声障害がある
  • 連絡先:家族
  • 確認者:家族
  • Alexaで試した機能:連絡先に登録した家族への音声発信
  • Alexaの試行:距離と向きを変え、各条件3回
  • iPhoneの試行:Wi-Fi停止中に携帯回線で3回
  • 安全条件:家族が立ち会い、実際の転倒や停電は再現しない

使用したAlexaとiPhoneの機種名、ソフトウェアのバージョン、Alexaの通話方式、周囲の騒音は試験時に記録していません。Wi-Fiの具体的な停止操作と電源状態も記録していないため、停電そのものの再現ではありません。

110番・119番への試験発信は行っていません。実際の火災、負傷、通信障害、携帯電話の電波を届ける設備の停止も再現していません。このため、この記事の数値は今回の自宅条件での結果であり、別の機種や環境で同じ結果になるとは限りません。

Alexaは発信できても、約5m・後方では会話できなかった

最初は普段の配置のまま、パソコン前から約5m離れた後方のAlexaへ呼びかけました。

発信は3回とも成功し、すべて10秒以内に家族へつながりました。ところが、通話が始まってから私の声が相手へ十分に届かず、状況を伝えるのは困難でした。

Alexaへ近づけば会話できます。しかし、転倒した時や一人で安全に移動できない時に「近づけば使える」配置は、緊急連絡手段として十分ではありません。

パソコン前の本人とAlexaの距離を1メートル、3メートル、5メートルで示した試験配置
Alexaとの距離と向きを変え、同じ家族連絡を各3回試しました。

1m正面と3m斜め前で、聞き取りやすさが変わった

次にAlexaを移動し、約1m・正面と約3m・斜め前で同じ電話を各3回試しました。家族側の聞き取りやすさは、次の3段階で記録しました。

  • 2:一度で内容を理解できた
  • 1:聞き返せば理解できた
  • 0:内容を理解できなかった
距離・位置 発信結果 接続時間 家族の聞き取り
約1m・正面 3回中3回 すべて10秒以内 2、2、2
約3m・斜め前 3回中3回 すべて10秒以内 2、1、2
約5m・後方 3回中3回 すべて10秒以内 内容の伝達が困難

発信成功率と接続時間は変わりませんでしたが、会話の成立には差が出ました。今回試した配置の中では、約1m・正面なら、私が移動せず家族へ状況を伝えられました。

距離と向きを同時に変えたため、どちらの影響が大きかったかまでは断定できません。それでも防災上は、原因を細かく切り分けるより、普段いる位置から実際に会話できた配置を残す方が役立ちます。

Alexaの距離別試験で、1メートル正面、3メートル斜め前、5メートル後方の結果を比較した図
発信は全条件で成功しましたが、会話の伝わり方には差が出ました。

Wi-Fiを止めるとAlexaからは発信できなかった

家族がすぐ元へ戻せる状態で、家庭のWi-Fiを一時的に止めました。その状態で、約1m・正面のAlexaから家族へ発信できるか確認しました。

結果は、発信できませんでした。

Alexaは、普段の補助的な連絡手段にはなっても、今回の試験では、家庭のWi-Fiやインターネット接続が止まると使えませんでした。実際の停電ではAlexa本体やWi-Fiルーターの電源も切れる可能性があるため、Alexaだけを連絡手段にはできません。

Wi-Fi停止時にAlexaの家族連絡が使えなくなる通信経路の図
Alexaは家庭のWi-Fiとインターネット接続が止まると発信できませんでした。

Wi-FiなしでもiPhoneは3回とも約3秒でつながった

Alexaが使えなかったのと同じWi-Fi停止条件で、パソコン前に置いたiPhoneからSiriを使って家族へ電話しました。iPhoneのモバイル通信は有効にし、端末には手で触れませんでした。

結果は3回中3回成功し、いずれも約3秒で接続しました。家族側でも私の発話を問題なく聞き取れました。

最初の3回は家族側に通話を終了してもらいました。その後、iPhoneの「設定」からSiriの「通話を終了」を有効にし、家族への通常電話で追加確認しました。

「Siri、通話を切って」と呼びかけると、1回中1回、iPhoneへ触れずに通話を終了できました。

通信・機器 発信 接続時間 会話 本人の接触 終了
Alexa・Wi-Fiあり・約1m正面 3回中3回 10秒以内 3回とも一度で伝達 なし 未計測
Alexa・Wi-Fiなし 1回中0回 接続せず 不可 なし 対象外
iPhone・Wi-Fiなし・携帯回線 3回中3回 約3秒 3回とも問題なし なし Siriで1回成功
Wi-Fi停止中でもiPhoneの携帯回線から家族へ約3秒で発信できた別の連絡経路の図
同じWi-Fi停止条件でも、iPhoneの携帯回線では3回とも約3秒で接続しました。

実測後に変えたこと

今回の結果を受け、自宅では次のように機器の配置と設定を変えます。

  1. Alexaはパソコン前から約1m・正面を目安に置く
  2. iPhoneは普段いるパソコン前から声が届く場所に置く
  3. iPhoneのSiriで「通話を終了」を有効にする
  4. Alexaは普段の補助的な連絡手段、iPhoneの携帯回線はWi-Fiが使えない時の別の連絡手段と考える
  5. 家族への発信テストでは、接続だけでなく、私の言葉が聞き取れたかまで確認する

Alexaに加えて携帯回線を使うiPhoneも準備することで、Wi-Fiだけに頼る状態を避けられます。ただし、携帯回線まで止まった場合や、iPhoneの電池が切れた場合の連絡方法は、今回の試験では確認できていません。

Siriを使い、端末に触れず発信、会話、通話終了まで行う流れ
Siriの設定後は、発信から終了までiPhoneへ触れずに完結できました。

同じ確認をする時のチェックリスト

身体状態、声、機種、住環境は人によって異なります。設定画面だけで判断せず、家族や支援者が立ち会える安全な日に、次の順番で確かめます。

  1. 普段いる位置から音声機器を起動できるか
  2. 正しい相手へ発信できるか
  3. 相手の声を本人が聞き取れるか
  4. 本人の声を相手が一度で理解できるか
  5. 本人が移動せず、端末にも触れずに通話を終了できるか
  6. Wi-Fiを止めた時に残る連絡手段があるか
  7. 第一連絡先が出ない時に、誰へ連絡するか決めているか
  8. 本人の声が聞こえない、または内容を聞き取れない時、家族が何を確認するか決めているか

試験発信は家族などの通常の連絡先だけに行い、110番・119番へ試験電話をしないでください。

音声による家族連絡を安全な日に確認する8項目の家庭用チェックリスト
設定だけで終わらせず、普段いる位置と現在の声で一つずつ確認します。

Alexaは119番への通常電話の代わりではない

Alexaコール・メッセージは通常の電話サービスではなく、110番・119番などの緊急通報へ直接つなぐ手段として扱えません。Alexaとは別に、119番へ発信できる携帯電話などを用意し、普段いる場所から使えるか確認しておきます。

iPhoneの音声操作も、機種、基本ソフトのバージョン、言語、設定、通信状態、本人の声によって結果が変わります。Appleの案内では、対応するiPhoneで「設定」からSiriの「通話を終了」を有効にすると、音声で電話やFaceTime通話を終了できます。

よくある質問

Alexaが電話をかけられれば、置き場所はどこでもよいですか?

いいえ。今回、約5m・後方でもAlexaは発信命令を認識しましたが、家族には私の声が十分に伝わりませんでした。普段いる位置から実際に会話し、家族側の聞き取りまで確認する必要があります。

Wi-Fiが止まってもiPhoneなら必ず使えますか?

必ず使えるとは限りません。今回はiPhoneの携帯回線が動いていたため発信できました。携帯電話の電波を届ける設備の障害、圏外、回線の混雑、端末の電池切れなどがあると使えない場合があります。

発声障害があってもSiriを使えますか?

本人の声と設定によって異なります。今回、私の発話では発信3回と通話終了1回に成功しましたが、同じ結果を他の人へ保証するものではありません。現在の声と普段の姿勢で実際に試すことが必要です。

家族へ何を伝える練習をすればよいですか?

まず「いる場所」「一人で移動できるか」「負傷や火災の有無」「来てほしいのか、電話確認だけでよいのか」を短く伝えます。長い説明より、家族が次の確認行動を選べる情報を先にします。

最初の家族につながらない場合はどうしますか?

安全な日に、第二の家族連絡先、マンション管理会社や管理人、普段の支援者など、次に連絡する相手を決めます。携帯電話から通常の家族連絡を試し、連絡先を音声で正しく呼び出せるかも確認します。実際に火災や負傷があり救急車・消防車が必要な時は、試験ではなく119番への緊急通報が必要です。

家族が別々の場所にいる時の連絡順は、集中豪雨で家族が別々の場所にいるとき、連絡と合流をどう決める?でも整理しています。連絡先と確認項目を一枚にまとめる場合は、家庭防災メモの作り方も使えます。

まとめ

今回の実測を受け、私の自宅ではAlexaを約1m・正面へ置き、普段の家族連絡に使います。Wi-Fiが使えない時のために、携帯回線を使うiPhoneもパソコン前から声が届く場所へ置きます。

Siriによる通話終了は追加試験で1回成功しましたが、機種名やソフトウェアのバージョンを記録していないため、今後の試験では条件も残します。

災害時の連絡手段として大切なのは、機器を買ったことや設定したことで安心せず、本人が普段いる位置から、現在の声で、発信・会話・終了まで実際に試すことです。

参考にした情報

この記事の確認範囲

この記事は、運営者本人の住環境と身体条件で行った確認記録です。避難の可否や救助方法を決めるものではありません。機器の動作や発話の伝わり方は、機種、設定、設置場所、通信環境、身体状態によって変わります。

実際に避難する方法や、階段移動・救助で必要な介助は、自治体、マンション管理者、医療・福祉の支援者と個別に確認してください。

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